早いもので、もう12月になりましたが、会員の皆様はいかがお過ごしでしょうか。
今年は7月下旬から、40ha(1,000m×400m)の原生林の開墾に取り組みましたが、11月下旬、ようやく終了しました。
一面、3mを超える葦と、20mを超える雑木が密生している原生林の開墾に取り組んだ時は、皆にできるはずがないと思われておりましたが、原生林を開墾しないと玉ねぎを植えることができないため、必死になって開墾に取り組みました。
その結果、私も驚くようなスピードで開墾が進み、40haの原生林を3ヶ月で開墾し、8haに玉ねぎを植えることができました。
今年は8haの植付けでしたが、来年は20haに玉ねぎ栽培ができるよう、更なる圃場整備に取り組んでおります。
また、連作障害対策のため、水を溜めた20haの玉ねぎ畑には、数百羽の白鳥が訪れ、今では「白鳥の湖」になっております。
白鳥は、夕方訪れ、朝九時頃に周りの圃場へ行き、落穂拾いをしております。
玉ねぎの連作障害対策で水を溜めた所へたくさんの白鳥が訪れるようになったため、毎朝、白鳥に会いに行くことが私の新しい日課になっております。
7年前から玉ねぎ栽培に取り組み、最初は10a当りの収穫量が少なく、とても苦労しましたが、収穫量が少しずつ増えてきたと思ったら、今度は玉ねぎの乾燥における不具合で黒カビが発生し、たくさんの玉ねぎを廃棄することになりました。
ようやく乾燥技術も向上し、黒カビ発生を防ぐことができたと思ったら、今度は連作障害のため、収量が3分の1にまで減少しました。
このままでは玉ねぎ栽培ができなくなるので、新たな原生林を開墾し、玉ねぎを植えることになりましたが、何も対策を講じないと、五年後にはまた連作障害で玉ねぎを植えることができなくなります。
そこまで苦労しながら、なぜ玉ねぎを植えるのかと、多くの人に呆れられておりますが、せっかく取り組んだ玉ねぎ栽培ですので、何とか成功させたいと頑張っております。
先日、農水省から、2020年に比べて2030年には、新たに92万haの農地が耕作されなくなるとのデータが発表されました。
東北地方の農地面積81万haを上回る面積ですが、農業の現場では、農業をやめたいという農家が激増していることを実感しております。
先日、県内の農業者と一緒に、農業法人を創立することにしましたが、その方の地域は、農業の後継者が激減し、このままでは地域農業が崩壊するとのことです。
その流れをくいとめるため、地域に拘らず、また、農業者であるか否かにも拘らず、多くの方の協力を得ることができないと、地域農業を守ることができなくなっております。
同じような問題は、他の地域の農業者からも聞いており、その方にも自分一人で考えず、地域外、農業外の方との連携を考えた方がよいのではと話しております。
私自身も玉ねぎ栽培で右往左往しておりますが、助けを求めている農業者がおられるのであれば、自分のできる範囲で応援したいと考えております。
私は今年、76歳になり、家族からは終活をしないのかと言われておりますが、走れるまでは全力で走ることが、私の終活と考えております。
来年の米作りには、入植以来初めて、種を直接播く、直播きに取り組み、ドローンを使った農作業にも取り組みたいと考えております。
会員の皆様には、今年も1年、大変お世話になりました。来年もまた宜しくお願い申し上げます。
寒さが厳しさを増す折、お身体には十分お気を付け頂きたく存じます。
令和6年12月
大潟村あきたこまち生産者協会
涌井 徹