会員の皆様へ
大潟村は、一年で一番忙しい春作業の季節が来ましたが、会員の皆様はいかがお過ごしでしょうか。

48年間続いた減反政策が3月31日で終わり、4月1日から新しい農業政策の年が始まりますが、農村の風景が変わらないように、農家も減反廃止に特別な思いがないかのように、何も変わっておりません。

私は48年前、雪深い新潟県十日町市から大潟村に入植しましたが、入植と同時に始まった減反政策により、米をいっぱい作りたいという私の農業人生は一変しました。48年間続いた減反政策が終わった今年、農業にとってどんな大きなインパクトがあるのかと身構えておりましたが、拍子抜けするくらい何も変わりませんでした。

私は入植以来、米の消費拡大の道を拓くために、米の生産コストを下げること、米の付加価値を高めること、米の新しい市場を創ることによって、「若者が夢と希望を持てる農業の創造」に全力で取り組んできましたが、その道はとても長く、そして、とても険しい道のりでした。
減反政策が終わる時期が近づいてきたのに、私には日本の米の消費拡大の道を拓くことができないのかと半分諦めかけていたところへ、米を素材とするグルテンフリー食品の道に出会うことができました。

日本では、2020年のオリンピックに向けて、グルテンフリー食品の導入を急いでおり、今年からたくさんのホテルや外食で導入が始まります。また、一昨年から導入を始めた量販店では、今年からグルテンフリー食品の品揃えを増やしたり、グルテンフリー食品のコーナー展開を始めようとしております。

グルテン障害が社会問題になっているのは、小麦を主食とする国々であり、その代表格がアメリカです。グルテンフリー食品の必要性は、アメリカから始まっており、米を素材とするグルテンフリー食品がアメリカで普及しなければ、需要の拡大は望めません。
協会では、7年前から米の輸出に取り組んできましたが、輸出に向けた消毒や価格のことで、米を輸出する道を拓くことができませんでした。

一昨年、グルテンフリー食品の開発をした時から、あらためて輸出に向け海外の展示会に参加してきましたが、期待した成果を得ることができませんでした。
今年成果を得ることができなければ、輸出を諦めなければならないと考えておりましたが、1月下旬と3月上旬にアメリカで開催された食品展示会に参加したことで、大きな成果がありました。
アメリカはグルテンフリー食品の先進国であり、日本の数千倍の需要が見込まれ、アメリカで普及できることは世界への普及につながり、アメリカだけでなく、世界への輸出の道も拓けることになります。

日本の米は、まだ生産コストを下げることができず、輸出には難しいものがありますが、米を素材とするグルテンフリー食品は、十分に輸出競争力があります。

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アメリカの展示会を通して知ったことは、アメリカのトウモロコシを主原料とするグルテンフリーパスタは「おいしくない」とのことですが、協会の米を素材とするグルテンフリーパスタやグルテンフリーラーメンは、とてもおいしいとの評価を得ることができました。

米を素材とするグルテンフリー食品を先行して輸出することで、米の輸出の話は自然についてきます。そのために、アメリカ人が最も関心の高いグルテンフリー食品の輸出を先行して取り組んでおります。
また、3月から甘酒用の麹造りと甘酒製造にも取り組んでおりますが、麹造りは、普通の加工食品とは全く違う世界のため、文字通り手探りで取り組んでおります。会員の皆様にご案内できる時が来ましたら紹介させて頂きますので、楽しみにお待ち頂きたく存じます。

私は、米の付加価値を高めるためと言っても、グルテンフリー食品や麹造りと甘酒造りに取り組むことは、考えてもいませんでしたが、この取り組みも偶然ではなく、何かの必然性があったのかもしれません。

減反が始まった48年前から、一日たりとも米の消費拡大の道を考えないことはありませんでしたが、世の中にない食文化の提案は、考えても考えても出てきませんでした。しかし、石の上にも3年と申しますが、五十年間考え続ければ、時代の要請とどこかで一緒になるのかと、自分ながらに妙に納得しているところです。

昨年から始めた玉ねぎ栽培は、様々な土壌条件や様々な環境条件の中でとても苦労をしているところですが、一回の玉ねぎ栽培で様々な経験を積むことができました。また、2月中旬に春植え玉ねぎの播種もしたので、昨年の秋植えと春植えの比較もでき、新しい発見ができるのではと期待しているところです。

春作業は、3月中旬の育苗土の準備、3月下旬の種籾準備、4月上旬の育苗ハウス張り、4月中旬の播種、4月下旬の耕耘、5月上旬の代掻き、5月中旬~下旬の田植えと、2ヶ月間、休む暇もない日が続きます。

減反政策が廃止される最初の年なので、農家は、新しいことには取り組まず、まずは様子見をするというのが本音のようです。
48年間続いた減反政策が、日本農業と日本の農家に何を残したのか、これから2~3年で本当の真価が問われるのではないでしょうか。

季節の変わり目、お身体にお気を付け頂きたく存じます。

平成30年4月
大潟村あきたこまち生産者協会
涌井 徹
# by a_komachi | 2018-04-01 08:30