会員の皆様へ
今年も12月になり、冬の足音が聞こえてきましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。

干拓以来、50年以上放置されてきた原生林を、秋田県農業公社から借り入れ、1年かけて雑草処理と雑木の抜根をし、土地の整地と暗渠工事をし、ようやく玉ねぎを植えることができました。

湖の底から生まれた地下水の高かった干拓地も、50年以上そのままになっていると、3メートルを超える葦の太い根が地中深く張り巡らされ、地中の水分をどんどん吸い、乾燥が進みます。
そして、乾燥の進んだ土地には様々な雑木が育ち、中には10メートルを超えるものがたくさんあり、抜根、片づけ、整地作業はとても苦労をしました。

干拓の先進国・オランダでは、干拓後、30年経たないと農家には配分しないと言われておりますが、大潟村では干拓後すぐに配分されました。そして、入植と同時に始まった減反政策により、否応なしに地下水の高い干拓地での畑作が始まりました。

大潟村がオランダのように、干拓後30年間配分をしなかったら、私も大潟村に入植できませんでしたので、これも運命だったのかと自分なりに納得しております。
50年以上、放置されていた原生林が、長さ1,000メートル、幅150メートルの1枚の畑は日本一の広さになり、一面に玉ねぎが植えられた畑は、我ながら素晴らしい畑になったと感動しております。

a0108746_11084071.gif


11月1日に、地元のNHKで放送された番組では、減反政策に反対した私が、減反政策が廃止された今年、なぜ玉ねぎを植えたのかと話題になっておりました。減反政策の時は、地下水が高くて畑作ができなかったから反対したのであって、排水対策ができて、畑作物が育つ環境になっていれば、反対する理由がありません。 
私の新たなる玉ねぎ栽培の取り組みが、大潟村の農家に普及する、大きなきっかけになるのではないでしょうか。

玉ねぎは稲作と競合せず、機械化でき、需要も十分にある数少ない有望な作物ですが、50年間、稲作一筋に取り組んできた農家にとって、改めて畑作に取り組むことは、とても大変なことです。

できることなら、稲作一本の農業経営を続けることが一番良いと考えるのは当たり前なことです。減反が廃止されたので、無理に畑作に取り組む必要はありませんが、玉ねぎの植え付けは、農業の選択肢の一つであると考えております。

47年間続いた減反政策が廃止された今、農業関係者だけでなく、各自治体も、農業政策をどのようにしたら良いのかと、悩んでおります。各自治体は今まで、農業政策は国の政策のように考えておりましたが、国が進める減反政策が廃止されたため、地域独自の農業政策が求められるようになり、慌てております。

今までは、先進的な農家が個々の努力で農地を集積し、面積の拡大を進めてきましたが、せっかく集積した農地も飛地のため、期待したように生産コストを下げることができませんでした。
そのため、多くの農業法人は経営が成り立たず、70%に後継者がいないと言われております。

農家に後継者がいないばかりでなく、農業法人にも後継者がいないというのが日本農業の現実ですが、この現実を直視し、どのようにしたら日本農業を発展させることができるのかを考える。それが、これからの若い農業者の課題になるのではないでしょうか。

冷たい雨が降る圃場では、たくさんの白鳥が落穂拾いに夢中になっております。今年はどの白鳥も皆、いつもより大きく感じます。雪が積もると落穂も食べられなくなるため、湖の方に飛んでいきますが、その頃になると、大潟村も本格的な冬になります。

会員の皆様には、本年も大変お世話になりました。
来年も何卒宜しくお願い申し上げます。

平成30年12月
大潟村あきたこまち生産者協会
涌井 徹
# by a_komachi | 2018-12-01 08:15