会員の皆様へ

早いものでもう3月、農家の話題は、春作業の話ばかりになりましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。
3月は、中旬に育苗土の準備が始まり、下旬には種籾や育苗ハウスの準備と続きます。
また、来年度から48年間続いた減反政策が廃止されますので、各地で減反廃止に向けて、様々な説明会が行われております。

農村の多くの若者は、減反が始まってから生まれており、減反がなかった時代を知らないため、減反廃止に対して、不安を抱えているようです。
私は、減反が始まった時は21歳で、大潟村に入植した時でした。それから48年間、私の農業人生は減反との戦いであり、今でも戦っているところです。

私は米作り農家として、自由に米を作るためには、米の消費拡大をしなければとの思いで、米の加工食品の開発に取り組んできました。
残念ながら、どんなに努力しても、私が一時期、減反政策に参加しなかったことで、私の取り組みは、長い間非難され続けてきました。

どんなに非難されても、米の消費拡大をすることなくして、日本の米作り農業の発展はないとの思いで、米の消費拡大に人生をかけて取り組んできました。
米の消費拡大と言っても、考えられるのは、既存の加工食品と同じ商品しか思い浮かばず、そんな時代が20年以上続く中で出会ったのが、グルテンフリー食品でした。

小麦を主食とする国々では、小麦粉食品を食べることによって、小麦アレルギーやグルテン障害に悩んでいる方がたくさんおります。
小麦アレルギーやグルテン障害に対応するために、米粉がとても重要な役割を果たすことを知ることができました。
それまで米粉は、小麦粉の増量剤として利用されることが多く、小麦粉に米粉を混ぜることで、パンやめん類の味が変わったり、原材料費が高くなったりと、小麦粉の加工業界にとっては、プラス面より、マイナス面ばかりが強調されてきました。

協会でも米めんに取り組んで9年になりましたが、米にはグルテンがなく、パンやめん造りに必要なグルテンの壁を乗り越えることが、なかなかできませんでした。
そのため、米粉にグルテンだけでなく、小麦粉や大豆粉、ソバ粉等をブレンドすることを何回も考えましたが、その都度、ここまで頑張ってきたのだから、もう少し頑張ってみようと思いながら9年が経ちました。

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そして昨年、グルテンフリー食品という言葉を聞き、1年間、無我夢中になってグルテンフリーパスタの開発と普及に取り組みました。
グルテンは、小麦等の麦類を加工する時に発生する物質であり、パンやめん類を造る時にとても重要な役割を果たします。その重要な役割を果たすグルテンを使わないでパンやめん類を造ることは、とても難しく、米めんの開発に取り組んだ多くの方が米めんから

撤退することになりました。

しかし、米めんの開発から撤退することは、米の消費拡大の道を諦めることになるので、私はどんなに苦しくても撤退することができませんでした。
そんな中で出会ったのがグルテンフリー食品でした。それは小麦等、麦類を利用しないで食品を造ることであり、最初から、小麦パンや小麦めんとは違う視点で造ることができました。

今まで米粉は、小麦の味が変わらない程度に増量剤としてブレンドしていただけでしたが、グルテンフリー食品は、小麦等の麦類を一切使用しないことが、必須条件でした。
昨年の夏からは、グルテンフリーパスタの開発だけでなく、グルテンフリーのパスタソースの開発にも取り組み、今年の正月明けからは、カレーやシチューの開発にも取り組んできました。
2月15日から、東京のビッグサイトで開催された展示会には、40種類のグルテンフリー食品を展示したことで、多くの方から高い評価を得ることができました。

小麦を主食とする国々では、グルテン障害は大きな社会問題になっておりますが、日本では、まだそれほど大きな問題にはなっておりません。
しかし、日本の食生活もますます欧米化しており、日本も近い将来、グルテン障害が社会問題になるのではないでしょうか。

量販店では、イタリア等のグルテンフリーパスタが販売されておりますが、その多くはコーンスターチを原料としております。
コーンスターチは、100パーセント遺伝子組み換えであると言われており、欧米では、遺伝子組み換え商品に対しても大きな懸念が持たれております。
日本の米は、グルテンや遺伝子組み換えの心配もなく、世界の人々が安心して食べることができます。

減反政策が始まって48年経ち、来年には減反政策も廃止されようとしておりますが、米の消費拡大の道に決定的な対策は開発されておりません。
そんな中でも、グルテンフリー食品の開発は、米の消費拡大に向けて、わずかながらも一歩前進したのではと考えております。
今年は、グルテンフリー食品が日本の食文化に定着できるように、全力を挙げて取り組みたいと考えております。

3月になると、日一日と暖かくなり、車のハンドルも自然に田圃へ向かうようになります。
会員皆様には、季節の変わり目、お身体にお気をつけ頂きたく存じます。


平成29年3月
大潟村あきたこまち生産者協会
涌井 徹


# by a_komachi | 2017-03-01 08:15