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早いもので、今年も田植えが始まりました。
4月上旬、風速40メートルを超える台風並みの強風が、一晩中吹き荒れ、種播き直前の育苗ハウス12棟のビニールが全部破れ、飛ばされてしまいました。 幸い、種播き直前だったため、苗の被害はありませんでしたが、それまでに張られた秋田県内の多くのハウスが破れ、骨組みまで壊れたものも多数出ました。 大潟村に入植して42年、強風でハウスが飛ばされたのは4回目であり、風速30メートル台では破れないハウスも、40メートルを超すと限界になります。 被害はハウスだけでなく、道路横の桜やポプラ、松の木も倒れ、風の強さを物語っていました。 翌朝7時前に農協に行き、新しいハウス用ビニールを注文しましたが、被害は大潟村や秋田県だけでなく、東北全域に及んでいるので、いつ入荷されるのか分からないとのことでした。 そのため、ビニールの入荷に合わせて種播きをするよう、予定していた種籾の芽出しの準備を遅らせました。 幸い、古いビニールが数棟分あったので、その分だけ種播きを進め、次のビニールが入荷されるのを待ちました。 初めてハウスを飛ばされた時は、種を播き終わり、発芽してからだったため、小さな苗が小雪混じりの寒い風の中で震えていたのを、昨日のことのように思い出しております。 今回のように、せっかく張った育苗ハウスが、一晩で飛ばされるのは、とても辛いことですが、種を播く前で良かったと、ほっとしております。 災害は数年に1度は必ずきます。強風でハウスが飛ぶくらいは、被害が軽い方かも知れません。 平成5年の冷夏による大凶作を経験し、平成16年は出穂期の柔らかい穂先に、台風による塩風が吹き付け、1日で稲が真っ白になり、収量が半分になった経験をしました。 収穫期に風速50メートルの強風が吹き、収穫中の稲の水分が抜け、田圃一面から乾いた牧草の匂いが立ち込める、驚くような経験もしました。 ![]() 私達農家は、どんなに苦しい経験をしても、絶望の中から立ち上がり、1からやり直しをします。 私も生まれ故郷の新潟県十日町市で、父と2人で農業に取り組み、自然の猛威の中で様々な経験をしてきたことにより、失敗しても失敗しても、立ち上がっていく何かが、私の心の中に住み着いたのかも知れません。 また、今年は30年ぶりに、米の多収穫栽培に取り組みます。一般的に米の多収穫栽培は、「健苗育生、浅植、浅水管理、中干し、穂肥、実肥」と、それぞれの技術の積み重ねに、天候に恵まれるという要素が加わり、初めて多収穫が実現します。 残念ながら、私も含めて多くの農家は何十年も、多収穫栽培に取り組んできましたが、期待する多収穫の実現はできませんでした。 たまたま、比較的多く収穫できた次の年は、収量がとても少なくなり、平均すると普通の収量になってしまいます。 そんな稲作りを20年、30年続けていると、自分には多収穫は無理だと思うようになり、人並みに収穫できれば良いと思うようになります。 私も、人並みに収穫できれば良いと思うようになっておりましたが、ある出会いにより、若い時に果たせなかった、多収穫栽培に取り組んでみようと、再び、思うようになりました。 今年取り組む多収穫栽培は、今までの技術の積み重ねによる多収穫栽培とは異なりますが、基本的には、今までの技術の積み重ねに加えて、新しい取り組みを行います。 文章に表すには難しいのですが、米の多収穫は、光合成が最大限に高まるような稲の姿に育てることにより、結果として多収穫になると言われております。 そのために何をするかということですが、まだ実現しておりませんので、今のところは、私の夢を話させて頂くだけにしておきます。 今年の秋の収穫で、私の夢を実現できたら、改めて話をさせて頂きます。 昔の手植えの頃は、6月上旬から田植えを行いましたが、田植機を利用するようになってから、田植えは5月10日頃から始まるようになりました。 そのため5月の連休は、毎日が耕耘、代かきです。 柔らかい田圃の中を、代かき、田植えと、1ヶ月以上も走り回り、もういいやと思うようになった時が、その年のトラクター作業の終わりになります。 どんな寒い時に植えられた苗も、植えて2日目には小さな根が出て、1週間もすると数センチメートルの白い根が四方に伸びます。 ハウスで育った苗は、いつから稲になるのかと聞かれますが、私は田圃に植えた苗に新しい根が出た時から、稲に変わる時ではないかと考えております。 田圃に植えられた苗は、収穫までの半年間、台風、長雨、病気、害虫の災害だけでなく、昨年の放射能汚染のような被害に遭うこともあります。 今年もまた収穫するまでに、どんな災害に遭うのかわかりませんが、米作りの第一歩が始まったので、稲の生長を日々見つめながら、おいしくて安全・安心なお米をお届けできるように取り組んでまいります。 新緑の時期に向かいますが、季節の変わり目、お身体大切にお過ごしください。 平成24年5月 大潟村あきたこまち生産者協会 涌井 徹 # by a_komachi | 2012-05-01 09:00
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