会員の皆様へ

今年は年明けから雪が少ないため、雪かきもなく、朝もゆっくりすることができましたが、皆様はどのようにお過ごしでしょうか。
雪の少ない日が続いているとは言っても、翌日には大雪になることもありますが、今年は1月中旬になっても雪が降らなかったので、人に笑われながら農作業を始めました。

種籾の選別や暗渠工事、玉ねぎ栽培地の造成と、昨年の秋にできなかった仕事がたくさん残っていたので、今年の暖冬天候はとても助かっております。
雪が降れば1週間くらいは作業ができなくなるので、晴れ間を見ながらの作業になりましたが、こんなに暖かい冬は大潟村に入植して初めてのことで、今年の夏の天候が心配になります。

48年間続いた減反政策が昨年で終わり、今年から新しい農業政策が始まりましたが、農業者の高齢化と後継者不足は深刻になっており、5年以内に新規就農者を育成しないと、日本農業は国民食料の安定供給ができなくなることが懸念されております。

後継者が育たないのは、小面積の農地が分散所有されており、生産効率が上がらないためですが、農地を集積し、生産効率を上げようという大きな動きはありません。
48年前、減反政策が始まった時は日本全国で反対運動がおこりましたが、減反政策が終わり、今年から新しい農業政策が始まろうとしている中、賛成も反対も大きな動きがないのは、農家が農業の将来に関心を持たなくなったのでしょうか。

2050年には、秋田県の人口は100万人から50万人に減少すると言われておりますが、そうなると、農村部には学校も、病院も、店も無くなり、人間は誰も住めなくなり、クマだけが住むようになります。
秋になると、秋田では新聞やテレビでクマが出たとのニュースが毎日のように報道されますが、クマの数は農村部の人口減少に合わせて多くなっているとのことです。
昔のように、クマ猟を専門にするマタギを育てるわけにもいきませんので、人が住まない農村部では、クマを追い払うドローンの開発が待ち望まれるのも笑い話でなくなっております。

昨年は、大潟村の周辺市町村で玉ねぎ栽培に取り組んだので、地元の農家の方はとても驚き、上手くいったら自分たちもやってみたいと思った農家がたくさんいたとのことです。
玉ねぎ栽培も、自分の家で食べるだけなら誰でもできますが、農業としての取り組みは、農家個々でやる時代は終わったと考えております。
玉ねぎを作る畑と米を作る圃場をまとめて、農業機械も共同利用することで、初めて人手不足対策と生産コスト削減が可能になります。


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私がこのような話をすると、多くの農家から「涌井は何年も前から同じ話をしているが、何も変わらなかったではないか」と言われますが、時代は確実に変わってきたと確信しております。
私は玉ねぎ栽培を通して、土地利用型農業に新たな農業の可能性を提案したいと考えております。
日本の土地利用型農業の課題は、人手不足と生産コスト削減ですが、そのためには農地を集積し、玉ねぎ栽培と稲作のブロックローテーションによる農業システムの確立が必要になります。

今は、個々の農業法人が血のにじむような苦労をして農地を集積しておりますが、農業法人の多くは小面積の農地を分散所有しており、生産効率が悪く、生産コストは下がりません。
これからの農地集積は、農家個々ではなく地域単位で行わなければ生産効率の良い農地として集積することができません。そのために玉ねぎ栽培を取り入れ、稲作との輪作に取り組むことで人手不足に対応でき、生産コストを下げ、付加価値の高い農業システムの構築が可能になります。

私が玉ねぎ栽培に取り組んだことで、大潟村の農家も、玉ねぎ栽培に向けて関心が徐々に高まってきたようですが、まだまだ大きな動きには至っておりません。ちょうど、私が30年前に協会を創業した時も、多くの方は様子見をしておりましたが、玉ねぎ栽培も同じことが言えるのかもしれません。

雪が消えた圃場に玉ねぎを見に行くと、植えた苗が見えなくなっており、驚いて探すと、植えた時の10分の1ほどの長さになり、土の塊に隠れておりました。
春になれば元気に伸びると言われますが、こんなに小さい苗が本当に伸びるのか心配になります。今はただ待つだけです。

昨年、玉ねぎを植えた場所は土壌条件がそれぞれ異なっておりましたので、今春どのように生育するかを参考に、今秋の植え付け圃場を決めたいと考えております。
また今年は、春播き玉ねぎの栽培もするため、2月中旬に玉ねぎの播種をします。

大潟村において、秋播きと春播きの両方の栽培ができることは大きな可能性が広がり、新たに玉ねぎ栽培に挑戦する方にとっては、大きなチャンスになります。
秋はどうしても雨が多く、田圃も軟らかくなりますが、春先は田圃も乾き、玉ねぎの植え付けも楽になります。春播きは病気が出やすいとのことですが、防除をしっかりやれば大丈夫とのことですので、期待しているところです。

稲作と玉ねぎの両方を作付していると、1年中休む暇もないように見えますが、今年は初めてのことなので大変かもしれません。1年経ってやり方がわかるようになれば、来年からはもっと楽になるのではないでしょうか。
年を取れば取るほど忙しくなってくるのはどうしてなのかわかりませんが、また新たなる課題に向けて、全力を挙げて取り組んでいるところです。


まだまだ寒さが続きますので、皆様にはお身体にお気を付け頂きたく存じます。


平成30年2月
大潟村あきたこまち生産者協会
涌井 徹


# by a_komachi | 2018-02-01 08:35