会員の皆様へ
大潟村はお盆過ぎから若干気温が下がり、過ごしやすくなってきました。会員の皆様はいかがお過ごしでしょうか。

大潟村の9月は、稲刈りに向けて、畔の草刈りやコンバイン、乾燥機の準備に入り、早い人は、9月中旬から刈り取りが始まります。
今年のあきたこまちは、台風の大きな被害もなく順調に育っており、例年以上においしいお米がお届けできると考えております。

今年は、48年間続いた減反政策最後の稲刈りになり、来年からは新しい農業が始まります。
私は今まで、米作り一筋の人生でしたが、減反政策最後の年に、米の消費拡大に向けて、米を原料とするアレルギー対応食品、グルテンフリー食品、アレルギー対応ミックス粉、ノングルテンミックス粉の開発と普及に取り組むことができたことは、私の米作り人生にとって、何よりも喜ばしいことであり、大きな成果であると考えております。

米の消費拡大の道が拓けた今、次にやるべきことは、稲作農業の生産コスト削減に向けた水田の集積事業ですが、水田は、農家にとっては魂であり、最後の拠りどころのため、簡単に水田を集積することはできません。

減反政策の時、水田の45%は減反をし、畑作に取り組んでおりましたが、来年から減反が廃止されるので、奨励金の付かない畑地に何を植えるのかが大きな課題になっております。
減反をやめた農地に主食用米を植えるか、飼料用米を植えるか、米粉用米を植えるか、畑作をやるのか、どの道を選択するのかによって、日本農業は大きな分岐点に差し掛かっております。

水田は、農家にとっては大きな心の拠りどころですが、減反廃止後の45%の農地に何を植えるかによって、稲作農業の方向性は大きく変わります。
私は、水田の集積による生産コストの削減と同じ以上に、減反廃止後の畑作農業の確立が重要な課題ではないかと考え、大規模畑作機械化一貫体系の確立に全力で取り組んでおります。

日本の稲作が全国に普及したのは、機械化一貫体系ができたからであり、昔からの手植えや手刈り、自然乾燥のままであったら、日本の稲作農業は既に滅んでいることでしょう。
私が高校を終えるまで、田植えは手植え、稲刈りは手刈り、乾燥は自然乾燥でしたが、50年経った今は、10条植えの田植え機で一日5ヘクタール植え、6条刈りのコンバインで一日5ヘクタール刈り、一日5ヘクタールの乾燥と籾摺りを行っています。

同じように畑作も、手植えや収穫作業が機械化できなければ、これからの人手不足に日本農業は対応することができません。

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日本農業は、家族の手間を労働力に代えるため、あえて手間のかかる施設園芸等に積極的に取り組んでおりますが、施設園芸だけでは、日本の45%の水田を畑作で対応することはできません。

今まで、減反面積に小麦や大豆を植えてきたのは機械化できたからであり、減反政策がなくなると奨励金が大幅に減額されるので、今まで通りの作付は難しくなります。
そこで考えなければならないのが、今までの手作業中心の畑作が機械化でき、なお、収益性が高い畑作目は何かということです。

稲作は、播種から収穫まで機械化できたからここまで普及したので、これからの畑作目も、稲作と同じように機械化できる畑作目を考え、大規模機械化一貫体系畑作の実証テストをするため、今年、30ヘクタールの畑作に取り組むことにしました。

今まで48年間、減反政策として奨励金交付を前提として取り組んできた畑作は、減反政策が廃止されると同時に奨励金がなくなるので、これからは奨励金が出ないことを前提とした畑作農業の確立が必要になります。

私は、奨励金の出ない畑作において、大規模畑作機械化一貫体系の畑作農業の確立が、水田面積の集積と米の生産コスト削減と一体化した新しい農業システムになるのではと考えております。

大規模畑作機械化一貫体系は、北海道の一部で確立されているだけで、その他の地域では確立されておりません。
減反廃止になるのに、私が大規模畑作機械化一貫体系に取り組むと言うと、仲間の多くは不思議がっておりますが、私にとっては、水田の集積によって米の生産コストを削減することと同じことだと考えております。

農家にとって、55%の米作りと、45%の畑作は同じ意味を持っておりますが、個々の農家の近くにモデルとなる農場がないため、実感がわきません。
今回の30ヘクタールの畑作は、秋田県内の複数の市町村にまたがって栽培に取り組む計画を立てており、4~5年後には、複数の県にまたがって栽培したいと考えております。

農家の息子は、農家を辞めたいと考えており、農業外からはたくさんの若者が農業を始めたいと考えているようですが、そのような若者の受け皿を創れるようになると、私が人生の目標としてきた「若者が夢と希望を持てる農業の創造」に一歩近づくことができます。

大潟村に入植して48年、協会を創って30年、今月で69歳になりますが、私の人生の目標に大きく近づくことができました。

まだまだ暑さが続きますので、会員の皆様にはお身体にお気をつけ頂きたく存じます。

平成29年9月
大潟村あきたこまち生産者協会
涌井 徹

# by a_komachi | 2017-09-01 08:15